ピル服用中に不正出血…性行為はしても大丈夫?原因・注意点・受診の目安を医師が解説

ピルを服用しているのに「生理以外の時に出血した」「性行為のあとに出血した」と驚く方は少なくありません。

ピル服用中の不正出血は多くの場合ホルモンバランスの変化によるものですが、ときに子宮頸部の炎症や感染症、服薬ミスによる避妊効果の低下が関係していることもあります。

特に性行為後の出血が続く場合や、痛み・おりものの異常を伴うときは、自己判断せずに婦人科を受診することが大切です。

この記事では、

「ピル服用中の不正出血の原因」

「性行為をしても大丈夫なケース」

「避妊効果や妊娠の可能性への影響」

について、医師監修のもと医学的根拠に基づいてわかりやすく解説します。

「不安だから今すぐ検査したい」という方は下記より受付の上、当院までお越しください。

ピル服用中の不正出血とは・着床出血・消退出血・不正出血の特徴は?

ピルを服用していると、「生理ではない時期に出血がある」「性行為のあとに少し血が出た」と感じることがあります。

このような予定外の出血を「不正出血」と呼びます。

ピルによる出血の種類

  • 不正出血(Breakthrough bleeding)
    ピル服用中にホルモン量が安定する前や、飲み忘れがあった際に起こる軽い出血。特に服用開始1~3か月は、体がホルモンバランスに慣れる過程で起きやすいとされています。
  • 消退出血(しょうたいしゅっけつ)
    ピルを休薬(または偽薬期間)に入れたときに起こる出血で、いわゆる「生理のようなもの」です。これはホルモン量の低下によって起こる自然な反応です。
  • 着床出血
    まれに、ピルを服用していても排卵が起こり妊娠するケースがあります。その場合、受精卵が子宮内膜に着床する際にごく少量の出血が起こることがあり、茶色いおりもののような出血として現れます。

ただし、ピルには高い避妊効果があり、正しく服用していれば妊娠の可能性は非常に低いとされています。

一方で、飲み忘れや服薬ミスがある場合は、ホルモン量の変動により排卵が再開することもあります。

ピル服用中の不正出血の原因

ピル服用中の不正出血には、いくつかの原因があります。

主にホルモン量の変化や服薬状況に関連することが多く、次のような理由が考えられます。

① 服用開始初期のホルモン変動
ピルを飲み始めてから最初の1~3か月は、体がホルモンに慣れる期間です。この時期は子宮内膜が安定せず、一時的に出血しやすい状態になります。

② 飲み忘れ・服薬時間のズレ
1日だけではなく数時間でも飲み忘れがあると、ホルモン濃度が一時的に低下し、子宮内膜が剥がれやすくなります。これにより軽い出血が起こることがあります。複数回の飲み忘れが続くと避妊効果にも影響する可能性があるため注意が必要です。

③ 薬の相互作用や体調変化
抗生物質など、一部の薬がピルの代謝を促進し、ホルモン濃度を下げる場合があります。また、ストレス・睡眠不足・過労もホルモンバランスを乱す原因となります。

④ 子宮頸部・腟の炎症・子宮頸がん
ピルとは関係なく、子宮頸管炎や腟炎、性感染症(クラミジアなど)でも性行為後に出血することがあります。子宮頸がんの初期でも不正出血が起こることが多いです。不正出血が長引く、痛みや異臭を伴う場合は婦人科で検査を受けましょう。

不正出血の種類と注意すべき症状

ピルによる不正出血はほとんどが一時的ですが、症状によっては早めの受診が必要です。

軽度の不正出血(経過観察でよいケース)
・服用開始1〜3ヶ月以内
・出血量が少なく、1~3日で止まる
・痛みや発熱、臭いがない
→ ホルモン変動による一時的反応の可能性が高く、服用を続けても問題ない場合が多いです。

受診を検討すべきケース
・出血が1週間以上続く
・性行為後に出血が毎回起こる
・強い腹痛や腰痛を伴う
・発熱やおりものの異常(黄緑・悪臭)がある
→感染症や子宮頸部の異常、子宮内膜症などの可能性もあるため、早めの検査が推奨されます。

要注意:妊娠・服薬ミスの可能性
ピルを飲み忘れた、下痢・嘔吐が続いたなどの場合、避妊効果が低下して排卵が起こることがあります。
性交後2週間以上経っても出血が止まらない、または生理が来ない場合は妊娠検査薬で確認し、婦人科を受診しましょう。

“いつもと違う”は病気のサインかもしれません。心当たりがある方は一度ご来院ください。

ピル服用中の不正出血への対処法

軽い不正出血であれば、慌てずに次のポイントを意識しましょう。

自宅でできる対応

  • 服用を中断せず、同じ時間に継続する
  • 数日間は出血の様子を観察
  • 下着やナプキンを清潔に保つ
  • ストレスや睡眠不足を避ける

これらで多くの場合、数日~1週間以内に出血は落ち着きます。

受診を検討する目安

  • 出血が止まらない(1週間以上続く)
  • 出血が増えてきた、または強い腹痛を伴う
  • 性行為後の出血が繰り返し起こる
  • 妊娠の可能性がある

婦人科では、内診・超音波検査・ホルモン値測定などを行い、必要に応じてピルの種類を変更したり、感染症治療を行うことがあります。

ピル服用中に不正出血があった場合の性行為について

不正出血があるときの性行為は、症状の原因によって注意が必要です。

  • ホルモン変動による軽い出血の場合
    一時的な出血(ピル開始初期や飲み忘れなしで起こる少量の出血)であれば、体調が良ければ性行為は可能です。ただし、出血中は腟内がデリケートな状態のため、刺激で炎症が悪化することもあります。痛みや違和感があるときは、無理をせず控えましょう。
  • 出血の原因が不明な場合
    性感染症や子宮頸部の異常が隠れていることもあるため、出血が続く間の性行為は避けたほうが安全です。また、服薬ミスがある場合は避妊効果が低下しているため、コンドームの併用をおすすめします。
  • 妊娠の可能性がある場合
    ピルを飲み忘れた、ピル服用中の嘔吐・下痢が続いたなどの場合は、妊娠の可能性を否定できません。不正出血を「生理のようなもの」と判断せず、妊娠検査薬で確認のうえ受診してください。

性交後の不正出血・・・子宮の病気?ピルの影響?

女性の身近な気になるお悩みをQ&A形式でご紹介します。

相談者👩

性交後の不正出血が度々起こり不安です。性行為後2~3日経つとそこから1週間以上、必ずおりものが茶色くなるか、鮮血が出ることもあります。
これは子宮の病気等を疑うべきか、現在ヤーズフレックスを飲んでおり、その影響で不正出血している可能性があるのかどうか教えていただきたいです。
また、今ちょうど不正出血が6日ほど続いており(今回は鮮血です)、前回の休薬から24日経過していないのですが、休薬しようか迷いながらヤーズフレックスの服用を続けている状態です。一度休薬するべきかどうかも併せて教えてください。

生理痛

ドクター🏥

性交渉の後にそれだけ不正出血が持続するとわずわらしいですよね。
まずは婦人科検診を全て受けてください。会社や自治体の婦人科検診は子宮頸癌しかないので、超音波検査を必ず受けましょう。
あまり出血が続く場合は、違う種類のピルに変更しても良いと思います。とりあえず今は中断して休薬4日後に又再開して下さい。

ピル

[引用:【池袋クリニック無料医療相談掲示板(婦人科)】より]

様々なシチュエーションにより、様々な不安があるかと思います。 同じグループクリニックの【池袋クリニック無料医療相談掲示板(婦人科)】を引用し、同じようなお悩みやご不安を抱えている方の参考になれば幸いです。

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(※オンラインで処方出来る方は条件があります。処方できない方もおりますので【ピル郵送│Web予約のご案内(継続処方のみ)】をご確認ください)

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