一度中絶すると妊娠しにくい?後遺症・将来への影響を医師が解説

「一度中絶すると、将来妊娠できなくなるのではないか」「体や心に後遺症が残るのではないか」
 人工妊娠中絶を経験、あるいは検討する中で、このような不安を抱く方は少なくありません。

結論からお伝えすると、一度の人工妊娠中絶を行ったからといって、必ず妊娠しにくくなると断定することはできません。

ただし、その影響は妊娠週数・中絶の方法・術後の経過や合併症の有無によって異なり、正しく理解することが重要です。

本記事では、渋谷文化村通りレディスクリニックが、 「一度中絶するとどうなるのか」について、医学的に分かっている事実と注意点を、分かりやすく解説します。

不安を抱えたまま自己判断をする前に、ぜひ参考にしてください。

人工中絶手術の後遺症・起こり得る合併症

人工妊娠中絶は、妊娠週数に応じた適切な方法で、医療管理下に行われれば、多くの場合は重篤な後遺症を残さずに経過します。

ただし、医療行為である以上、一定の合併症リスクが完全にゼロになることはありません。

起こり得る合併症として、医学的に確認されているものを以下に示します。

出血(術後出血)

人工中絶手術後には、生理に似た出血が数日から1週間程度みられることがあります。

これは、子宮が元の大きさへ戻る過程で起こる生理的な反応であり、多くの場合は自然に軽快します。

一方で、以下のような症状がある場合は注意が必要です。

  • ナプキンが1時間もたず、頻繁に交換が必要なほどの出血
  • レバー状の血の塊が繰り返し出る
  • 出血量が日を追うごとに増えている

これらは、子宮収縮不全や子宮内容の残留などが関与している可能性があり、早めに医療機関を受診することが重要です。

感染(子宮内感染など)

手術後に細菌が子宮内へ侵入することで、子宮内感染や骨盤内感染を起こす可能性があります。

現在主流の吸引法では感染リスクは低下していますが、完全に否定することはできません。

感染を疑う症状には、以下が挙げられます。

  • 38℃以上の発熱
  • 下腹部の持続的な痛み
  • 悪臭を伴うおりもの
  • 強い倦怠感や寒気

これらの症状がみられる場合は、抗菌薬治療が必要となることがあるため、我慢せず速やかに受診してください。

子宮内容の残留(不全中絶)

人工中絶手術後に、妊娠組織の一部が子宮内に残る状態を     子宮内膜遺残といいます。

この状態では、

  • 出血が長引く
  • 下腹部痛が続く
  • 感染を併発する

といった症状がみられることがあります。超音波検査で確認し、必要に応じて追加の吸引処置や薬剤治療を行います。

子宮頸管・子宮内膜への影響

人工中絶では、子宮頸管の拡張や子宮内操作を行うため、まれに子宮頸管や子宮内膜へ影響が生じることがあります。

特に注意が必要なのは、

  • 妊娠週数が進んだ中期中絶
  • 強い感染や大量出血を伴った場合
  • 短期間に複数回の中絶手術を行った場合

などです。ただし、初期中絶を1回行っただけで、将来必ず問題が生じるわけではありません。

現在の中絶手術の安全性について

現在は、世界的に吸引法(手動吸引・電動吸引)が主流であり、過去に行われていた掻爬法と比較して、

  • 子宮内膜への侵襲が少ない
  • 出血量が少ない
  • 合併症の発生率が低い

とされています。

人工中絶手術後は心身のケアを行うことが大切

人工中絶手術後は、子宮やホルモンバランスが急激に変化するため、身体的な回復と同時に心理的なケアを行うことが重要です。

多くの場合、適切な経過をたどれば日常生活へ支障なく戻ることができますが、無理をせず、変化を丁寧に観察することが回復を早めます。

手術後の身体的ケアについて

手術後数日から1週間程度は、出血や下腹部痛がみられることがあります。

これは、子宮が元の状態に戻る過程で起こる生理的反応です。

以下の点に注意して過ごしてください。

  • 激しい運動や長時間の立ち仕事は避ける
  • 出血量や腹痛の変化を日々確認する
  • 発熱や強い痛みがないか注意する

入浴、運動、性行為の再開時期については、術後の状態や方法により異なるため、必ず医師の指示に従ってください。

自己判断で無理をすると、感染や出血の原因となることがあります。

日常生活への復帰の目安

基本的には手術翌日から通常の生活に戻ることが可能です。ただし、回復のスピードには個人差があります。

  • 仕事や学校への復帰は、体調を最優先に判断
  • 倦怠感や下腹部の違和感がある場合は休養を優先
  • 睡眠と食事をしっかり取ることが重要

「普段どおり動けるかどうか」を一つの目安とし、無理をしないことが大切です。

手術後の精神的変化について

人工中絶後には、

  • 気分の落ち込み
  • 不安感
  • 罪悪感や複雑な感情

などが一時的に現れることがあります。

これは、ホルモン変動や環境要因、個人の受け止め方が影響しており、珍しい反応ではありません。

一方で、「中絶をしたから必ず精神的な不調が残る」とする医学的根拠はありません。

精神的な負担が強く出やすいケース

精神的なつらさが強く出やすいのは、

  • もともと不安や抑うつを感じやすい状態にある場合
  • 周囲に相談できる人がいない場合
  • 予期せぬ妊娠や急な判断を迫られた場合

などが挙げられます。これらは個人差が大きく、誰にでも起こり得る反応です。

医師や専門家に相談すべきタイミング

以下のような状態が続く場合は、我慢せず医療機関へご相談ください。

  • 気分の落ち込みや不安が数週間以上続く
  • 日常生活(仕事・睡眠・食事)に支障が出ている
  • 強い自己否定感や孤立感がある

必要に応じて、医師が専門的なサポートをご案内します。

中絶後は、妊娠しにくい?

一度の人工妊娠中絶によって、将来必ず妊娠しにくくなると断定することはできません。

医学的には、合併症なく適切に行われた初期中絶が、その後の妊娠率に大きな影響を与えないとする報告が多くあります。

一方で、中絶の時期・方法・術後経過によっては、妊娠に影響を及ぼす可能性が指摘されるケースもあります。

初期中絶と妊娠率の関係

妊娠初期(おおむね妊娠11週未満)に、

  • 適切な方法(現在は吸引法が主流)
  • 感染や大量出血などの合併症がない

条件で行われた人工中絶については、その後の妊娠率が低下するとは限らないとされています。

このため、初期中絶を1回受けたことだけを理由に、不妊になると決めつけることは医学的にできません。

妊娠週数が進んだ中期中絶の場合

妊娠週数が進んだ中期中絶(12週以降)では、

  • 子宮頸管の拡張
  • 分娩に近い処置

が必要となるため、身体への負担が大きくなる傾向があります。

その結果として、

  • 子宮頸管への影響
  • 感染や出血のリスク増加

などが起こった場合、将来の妊娠経過に影響する可能性が指摘されることがあります。

感染や強い出血などの合併症が起きた場合

中絶後に、

  • 子宮内感染
  • 大量出血
  • 子宮内膜遺残

などの合併症が生じた場合、子宮内環境に影響を及ぼす可能性があります。

特に感染が重症化した場合には、子宮内膜や卵管に影響が出ることがあり、妊娠しにくさにつながるケースも報告されています。

ただし、これは適切な治療が遅れた場合に限られることが多いとされています。

複数回の中絶を短期間に繰り返した場合

人工中絶を短期間に複数回繰り返すと、

  • 子宮内操作の回数が増える
  • 感染や内膜への影響が蓄積する

といった理由から、妊娠に影響する可能性が高まると考えられています。

ただし、回数のみで一律に判断することはできず、それぞれの中絶の方法や経過が重要になります。

「中絶後に妊娠しにくいか」は個別判断が必要

このように、

  • 中絶の方法
  • 妊娠週数
  • 術後の経過や合併症の有無

によって状況は大きく異なります。

そのため、「中絶後は妊娠しにくいかどうか」を一律に判断することはできず、個別の診察・経過確認が必要です。

将来の妊娠について不安がある場合は、自己判断せず、医師へ直接相談することが大切です。

中絶跡で周囲に知られることはある?

人工中絶手術によって、外見上で周囲に分かる「跡」が残ることは、通常ありません。

人工妊娠中絶は、帝王切開のようにお腹を切開する手術ではなく、腟から行う処置であるため、体表に傷跡が残ることはありません。

また、医療機関には厳格な守秘義務があり、本人の同意なく第三者に中絶の事実が知られることはありません。

体の外見に「中絶跡」が残ることはある?

人工中絶手術では、

  • 腹部の切開
  • 皮膚縫合
  • 外から見える傷

といった処置は行いません。

そのため、

  • お腹に傷が残る
  • 温泉や健康診断で見て分かる
  • 将来の診察で自動的に知られる

といったことは、通常ありません。

※中期中絶で分娩に近い処置を行った場合でも、体表に傷が残ることはありません。

健康診断や婦人科検診で知られることはある?

一般的な健康診断や婦人科検診で、 過去に中絶をしたかどうかが自動的に分かることはありません。

問診票などで申告がない限り、

  • 血液検査
  • 超音波検査
  • 内診

だけで、中絶歴を特定することはできません。

医師が把握するのは、現在の子宮や卵巣の状態であり、過去の中絶歴が必ず分かるわけではありません。

家族や職場、学校に知られることはある?

医療機関は、法律に基づき守秘義務を負っています。

そのため、

  • 家族
  • パートナー
  • 職場
  • 学校

などに、本人の同意なく情報が伝えられることはありません。

また、保険証の使用や通院履歴から、周囲に自動的に知られることも通常はありません。

将来の妊娠や出産時に影響することはある?

将来、妊娠・出産をした際に、「過去の中絶歴が必ず分かる」ということはありません。

ただし、妊娠経過を安全に管理するため、医師が必要と判断した場合に限り、既往歴として中絶歴を確認することがあります。

これは、個人情報として厳重に管理され、第三者に共有されることはありません。

中絶手術を検討している方へ

人工妊娠中絶は、妊娠週数によって選択できる方法や身体への負担が大きく変わる医療行為です。

妊娠週数が進むほど、処置は複雑になり、身体的・精神的負担や合併症のリスクが高くなる傾向があります。

そのため、妊娠が分かった段階で、できるだけ早く医療機関へ相談することが大切です。

妊娠が分かったら早めの受診が重要な理由

人工妊娠中絶は、妊娠週数によって、

  • 選択できる方法
  • 身体への侵襲
  • 必要な通院回数

が大きく異なります。

妊娠初期であれば、比較的身体への負担が少ない方法が選択できる場合が多く、早期の受診が、リスクを抑えることにつながります。

自己判断をせず、医師に直接相談してください。

インターネットやSNSには、さまざまな情報がありますが、

  • 正確でない情報
  • 個人の体験談のみを一般化した内容

も多く含まれています。

人工妊娠中絶の適応やリスクは、妊娠週数・体調・既往歴によって異なるため、自己判断ではなく、医師に直接確認することが重要です。

当院では、患者さまの状況に応じて、

  • 現在考えられる選択肢
  • それぞれの方法の特徴と注意点

を、医学的根拠に基づいてご説明します。

一人で抱え込まず、相談できる相手を持つことも大切です。

人工妊娠中絶を検討する過程では、不安や迷い、精神的な負担を感じる方も少なくありません。

  • パートナー
  • 家族
  • 信頼できる友人

など、安心して話せる相手と相談することが、精神的な支えになることがあります。

ただし、誰に相談するかはご本人の自由であり、無理に周囲へ話す必要はありません。

当院で大切にしていること

渋谷文化村通りレディスクリニックでは、患者さまが十分に理解し、納得したうえで判断できることを大切にしています。

  • 医学的事実に基づいた説明
  • メリット・デメリットを含めた情報提供
  • 質問や不安に対する丁寧な対応

を通じて、患者さま一人ひとりの状況に配慮したサポートを行っています。

まとめ

人工中絶後の経過は、多くの場合、重い後遺症を残すことなく回復します。

将来妊娠しにくくなるかどうかは、中絶を行った妊娠週数や方法、合併症の有無によって異なり、一律に判断することはできません。

また、回復には身体面だけでなく、心のケアも大切です。

少しでも不安や気になる症状がある場合は、自己判断せず、早めに医療機関へ相談することが安全につながります。

中絶後遺症のよくあるご質問

一度中絶すると、必ず不妊になりますか?

必ず不妊になるわけではありません。多くの場合、将来の妊娠に大きな影響はありませんが、条件により異なります。

何回まで中絶できますか?

回数の上限を一律に定めることはできませんが、回数が増えるほどリスクは高まる可能性があります。

手術後、どのくらいで次の妊娠が可能ですか?

体の回復には個人差があります。次の妊娠を希望される場合は、医師に時期を相談してください。

強い不安や気分の落ち込みが続く場合は?

一人で抱え込まず、医療機関へご相談ください。必要に応じて専門的なサポートをご案内します。