デリケートゾーン（外陰部）が腫れると、「病気なのかな？」「性病？」「何科に行けばいいの？」
と不安に感じる方が多くいらっしゃいます。

実は、腫れの原因は刺激による軽い炎症から、感染症、分泌腺のトラブル（バルトリン腺炎）、性器ヘルペス、カンジダ腟炎までさまざまで、見た目だけで原因を判断することはほとんど不可能です。

• 片側だけ急に腫れた
• 痛くて歩きづらい
• 水ぶくれ・ただれがある
• おりものの量やニオイが変わった
• 数日たっても治らない

こうした症状があれば、自己判断せず婦人科での診察をおすすめします。

本記事では、渋谷文化村通りレディスクリニックの医師監修のもと、

• デリケートゾーンが腫れる主な原因
• 病気による腫れの特徴
• 自宅でできる対処法
• 受診すべき症状・タイミング
• 婦人科での検査・治療方法

をやさしく、わかりやすく解説します。

ひとりで悩んだり、不安を抱え続ける必要はありません。

デリケートなご相談こそ、早めに専門医に診てもらうことで、症状の悪化を防ぎ、より早く快適な状態に戻れます。

デリケートゾーンが腫れる原因とは？大丈夫なの？

デリケートゾーン（外陰部）が腫れると、驚きや不安を感じる方が多くいます。

実際、腫れの原因には軽度の炎症から感染症、分泌腺のトラブルまで幅広く、自分で判断することは難しいことがほとんどです。

ここでは、よくある原因を3つのカテゴリに分け、症状の特徴と注意すべきポイントを詳しく解説します。

① 摩擦・刺激による一時的な炎症（軽度の腫れ）

日常生活の中で皮膚に刺激が加わると、一時的に腫れや赤みが出ることがあります。

● よくある原因

• 下着やナプキンの擦れ
• 生理中の蒸れ
• 自転車・運動時の摩擦
• アンダーヘアの脱毛（剃毛・ワックス後）
• ボディソープや洗浄剤による刺激

● 症状の特徴

• 軽い腫れや赤み
• かゆみ、ヒリヒリ感
• 触ると少し痛いが、強い痛みはない
• 左右どちらか、または全体がぼんやり腫れる

● 対処のポイント

• 刺激を避ける
• 通気性のよい下着
• 過度に洗わず、清潔を保つ
• 数日で改善することが多い

ただし、腫れが改善しない・悪化する場合は別の原因を疑います。

② 細菌・ウイルス・真菌（カンジダなど）の感染症

感染症は、デリケートゾーンの腫れの中でも頻度が高く、適切な治療が必要です。

● 主な種類

• カンジダ腟炎（真菌）
• 細菌性腟炎
• 性器ヘルペス（ウイルス）
• クラミジア・淋菌感染症（性感染症）

● 感染症に見られやすい症状

• 腫れと赤み
• 強いかゆみやヒリつき
• おりものの変化（白くポロポロ、悪臭、量が多い）
• 排尿時の痛み
• 水ぶくれ（ヘルペス）

● 注意すべきポイント

感染症は自然治癒するケースは少なく、放置すると症状が悪化したり、他の部位に広がることもあります。

特に、

• 水ぶくれがある
• 激しい痛みが伴う
• 再発を繰り返す

場合は、早めの婦人科受診が重要です。

③ 分泌腺や皮膚組織のトラブル（バルトリン腺炎・毛嚢炎・粉瘤など）

片側だけの腫れや、触ると強く痛みがある場合は、分泌腺や皮膚の炎症が原因のことが多いです。

● バルトリン腺炎

腟の入口の左右にある「バルトリン腺」が炎症を起こす病気です。

• 片側が急に大きく腫れる
• 歩行や座るだけで痛い
• 発熱することもある

膿がたまると“膿瘍（のうよう）”となり、抗生剤や排膿が必要になるケースもあります。

● 毛嚢炎（もうのうえん）

毛穴に細菌が入って炎症を起こす状態。

• 小さな赤いできもの
• 触ると軽い痛み
• 脱毛や自己処理後に起こりやすい

軽症なら自然に治ることもありますが、悪化すると腫れが大きくなることがあります。

● 粉瘤（アテローマ）

皮膚の下に袋状の構造ができ、中に皮脂や角質がたまるできもの。

• しこりのように触れる
• 腫れて痛むことがある
• 再発を繰り返すこともある

こちらも治療には医療的な処置が必要です。

自分で原因を判断するのが難しい理由

デリケートゾーンは皮膚が薄く敏感なため、どの原因でも“腫れる・赤くなる・痛む”という似た症状が出やすいことが特徴です。

例えば、

• 摩擦 → 軽い腫れ
• カンジダ → 腫れ + かゆみ
• ヘルペス → 水ぶくれ + 激痛
• バルトリン腺炎 → 片側がボコッと腫れる

症状が重複していることも多く、症状だけで正確に原因を判断することは困難です。

デリケートゾーンの腫れ（できもの）を引き起こす病気

デリケートゾーンに腫れやできものができる原因には、いくつかの疾患が関わっています。

それぞれ症状や腫れ方が異なるため、原因を知ることで受診のタイミングが判断しやすくなります。

ここでは、代表的な病気を詳しく解説します。

① バルトリン腺炎（バルトリン腺嚢胞・膿瘍）

腟の入り口（左右）にあるバルトリン腺に細菌が入り込み、炎症を起こす病気です。

● 特徴的な症状

• 片側だけが大きく腫れる
• 歩行・座る動作が困難なほどの痛み
• 圧痛（押すと強く痛む）
• 発熱を伴うこともある
• 下着がこすれるだけで痛い

● 進行するとどうなる？

炎症が悪化すると、腺の中に膿が溜まり「膿瘍（のうよう）」になります。

膿瘍になると腫れがさらに大きく、皮膚がパンパンに張ったような状態になり、自然治癒は難しく、抗生剤や排膿処置が必要です。

● なぜ起きるの？

• 大腸菌などの細菌感染
• 外陰部の衛生状態
• 性交後に細菌が入り込みやすい場合
• 免疫力の低下

② 性器ヘルペス（ヘルペスウイルス感染症）

ヘルペスウイルスに感染し、外陰部に痛みを伴う水ぶくれ（小さな水疱）ができる病気です。

● 主な症状

• ピリピリ・チクチクした神経痛のような違和感
• 小さな水疱が複数できる（腫れの原因になる）
• 水疱が破れるとただれ、強い痛みを伴う
• 排尿時にも痛みを感じる

● 初感染は特に重症化しやすい

初めて感染した場合、発熱・だるさ・痛みが強く、歩くのも困難になる人も少なくありません。

● 再発しやすい病気

ヘルペスはウイルスが神経に潜伏するため、疲れ・ストレス・免疫低下で再発することがあります。

● 治療が必要

抗ウイルス薬で治療が可能で、早期治療で症状を軽くできます。

③ カンジダ腟炎

“カンジダ菌”という真菌（カビ）が増殖することで起こる腟炎です。

● 主な症状

• 外陰部の強いかゆみ
• 赤み・腫れ
• 白くポロポロした「ヨーグルト状」のおりもの
• 排尿時の刺激感
• かくとさらに悪化する

● なぜ起こるの？

カンジダ菌は誰にでも存在する常在菌です。

以下のきっかけで増殖し、炎症を起こします。

• 免疫力の低下
• 強いストレス
• 抗生剤を使用したあと
• タイトな下着や湿気
• ホルモンバランスの変化

● 市販薬で悪化するケースも

一度改善しても再発しやすいため、婦人科での正しい診断・治療が効果的です。

④ 毛嚢炎（もうのうえん）・粉瘤（アテローマ）

● 毛嚢炎とは？

毛穴に細菌が入り込み、炎症を起こして小さな腫れや痛みが出ます。

• 1つ〜複数の赤いできもの
• 触ると痛い
• 脱毛後に起きやすい

軽症なら自然に治ることもありますが、悪化すると腫れが大きくなることがあります。

● 粉瘤（アテローマ）とは？

皮膚の下に袋ができ、その中に皮脂や角質が溜まるできものです。

• コリッとしたしこりを触れる
• 炎症が起きると赤く腫れ、痛む
• 放置すると再発・増大しやすい

炎症が強い場合は切開や排膿が必要になることもあります。

⑤ 外陰炎（接触性皮膚炎・かぶれ）

デリケートゾーンの皮膚は非常に敏感なため、日常のささいな刺激でも炎症が起こり腫れることがあります。

● 原因となりやすいもの

• ナプキンの擦れ
• 石鹸やボディソープ
• 生理中のムレ
• きつい下着
• 合わない洗濯洗剤

● 主な症状

• 赤み
• かゆみ
• ヒリヒリ感
• 軽度〜中等度の腫れ

● 対応

刺激物を避け、必要に応じて外用薬で改善します。

デリケートゾーンの腫れを感じたら何科に相談するの？（受診の目安）

デリケートゾーンの腫れは、恥ずかしさから相談しづらいと感じる方も多いですが、婦人科が専門的に診察できる診療科です。

腫れの原因は「軽度の炎症」から「感染症」「分泌腺の病気」まで幅広いため、以下のような症状がある場合は早めの受診をおすすめします。

① 強い痛み・圧痛がある場合

腫れに触れると強い痛みを感じたり、ズキズキとした圧痛がある場合は、バルトリン腺炎や細菌感染の可能性があります。

● なぜ危険なの？

• 炎症が進むと腺の中に膿が溜まり、膿瘍になる
• 歩行が困難になるほどの痛みが出ることも
• 放置すると腫れがさらに大きくなり、治療が難しくなる

● 早めの治療が必要

抗生剤や排膿処置など、症状に応じた治療が必要です。

② 腫れが片側だけ急に大きくなる場合

外陰部の片側だけが“ボコッ”と不自然に腫れるのは、バルトリン腺炎（あるいはバルトリン腺嚢胞）の典型的な症状です。

● 片側だけ腫れる理由

バルトリン腺は左右に１つずつ存在し、感染が起きると片側だけが腫れます。

● 特徴

• 触ると硬い、もしくは強く痛む
• 座る・歩くと痛みが増す
• 大きさが日に日に増すことも

腫れが急速に大きくなる場合、膿が溜まる前の段階で治療すると改善が早いため、早期受診が重要です。

③ 水ぶくれ・ただれがある場合

水ぶくれ（小さな水疱）が破れてただれる症状は、性器ヘルペスの疑いが強くなります。

● どうして水ぶくれになる？

ヘルペスウイルスが皮膚で増殖し、水疱を形成するため。

● 注意すべき理由

• 初感染は症状が強く出る
• 歩行困難になることも
• 放置すると炎症が広がり、痛みが悪化する
• パートナーへの感染リスクがある

抗ウイルス薬による早期治療が必要です。

④ かゆみとおりものの異常を伴う場合

腫れに加えて、かゆみ・異臭・増加・ヨーグルト状のおりものがある場合、以下が疑われます。

• カンジダ腟炎
• 細菌性腟炎
• トリコモナス腟炎

● 自己判断が危険な理由

• カンジダと細菌性腟炎は症状が似ており、自分では見分けられない
• 市販薬を使うと悪化するケースもある
• 正確な診断と適切な薬が必要

婦人科で分泌物検査を行えば、原因がすぐにわかります。

⑤ 数日たっても治らない・悪化している場合

摩擦や軽いかぶれの場合、通常は1～2日で改善に向かいます。

● それでも治らない場合は？

• 細菌感染
• 炎症の進行
• 分泌腺の閉塞（バルトリン腺嚢胞）
• 皮膚疾患

の可能性があります。

改善しない・悪化する・痛みが強くなる場合は、必ず受診して原因を確認してください。

⑥ 発熱している、歩けないほど痛い場合

これは緊急で受診すべきサインです。

● 疑われる病気

• 重度のバルトリン腺膿瘍
• 性器ヘルペス初感染
• 急性の感染症

● 放置するリスク

• 膿がさらに溜まり、腫れが大きくなる
• 痛みが劇的に悪化
• 日常生活に支障をきたす
• 体調悪化

の可能性がありますので、すぐに婦人科へ相談してください。

婦人科ではどんな検査をするの？

婦人科での検査は、痛みが少なく短時間で終わるものがほとんどです。

● 主な検査内容

1. 視診・触診
   腫れの部位、性状、痛みの程度を確認。
2. 超音波検査（エコー）
   バルトリン腺の腫れ、腟・子宮の異常、膿の有無
3. 分泌物検査
   カンジダ・細菌性腟炎・性感染症の判別が可能。
4. 必要に応じて血液検査
   感染の程度、炎症反応をチェック。

婦人科ではどんな治療が受けられる？

症状に応じて適切な治療を行います。

• 抗生剤（細菌感染）
• 抗ウイルス薬（ヘルペス）
• 抗真菌薬（カンジダ）
• 外用薬（皮膚炎）
• 排膿処置（バルトリン腺膿瘍）

腫れの原因は必ず何かしらありますが、適切な治療を行えば多くは数日〜1週間ほどで改善します。

デリケートゾーンのかゆみや腫れへの対処法・治療法

デリケートゾーンの腫れは、原因によって対処法が異なります。

軽度の炎症であれば自宅で改善することもありますが、感染症や局所の炎症が原因の場合は医療機関での治療が必要です。

ここでは、自宅でできるケアと婦人科で受けられる治療をそれぞれ詳しく解説します。

① 自分でできる対処法（軽度の腫れ・かゆみの場合）

軽度の腫れやかゆみで、強い痛みがない場合は、まず以下のセルフケアを試してみてください。

● 清潔を保ち、よく乾かす

外陰部は湿気がこもりやすく、蒸れると細菌や真菌が繁殖しやすくなります。

• 入浴時にやさしく洗い、こすらずに洗い流す
• シャワー後はタオルで押さえるようにして水分を取る
• 過度な洗浄（1日に何度も石鹸洗浄）は逆効果

「清潔＝頻繁に洗う」ではなく、必要以上の洗浄は刺激になる点に注意しましょう。

● 通気性の良い下着を着用する

ムレは腫れ・かゆみの大きな原因です。

• コットン素材など、蒸れにくい下着
• タイトすぎる下着・ガードルは避ける
• 生理中はこまめにナプキンを交換する

下着一つで症状が改善することもあります。

● ナプキン・石鹸など刺激物を避ける

敏感肌の方は、

• 化学繊維
• 香料入りナプキン
• 香りつきボディソープ

で炎症が起きることがあります。

刺激を減らすほど腫れは治まりやすいため、心当たりがあれば一度使用をやめてみてください。

● かゆみがあっても掻かない

掻き壊すと皮膚が傷つき、さらに腫れが悪化します。

かゆい → 掻く → 皮膚が傷つく → かぶれや感染が起きる、という悪循環に陥りやすいので注意が必要です。

● 温めず、軽く冷やす（腫れが強い時）

腫れは炎症反応の一つのため、温めると悪化することがあります。

逆に、氷のうや冷やしたタオルを使って軽く冷やすと、痛みや腫れが和らぐこともあります。

• 長時間の冷却は逆効果
• 直接氷を当てない

短時間・軽い冷却がポイントです。

● いつまで様子見してよい？

軽度のかゆみや腫れなら1〜2日程度で改善することが多いです。

ただし次の場合は早めに受診してください。

• 2〜3日経っても良くならない
• 痛みやかゆみが強くなってきた
• 水ぶくれ、ただれが出てきた
• 片側だけ大きく腫れてきた
• おりものの異常を伴う

② 医療機関で受けられる治療（症状が続く・強い場合）

腫れの原因が感染症や炎症の場合、自宅でのケアでは改善が難しいため、婦人科での治療が必要です。

● 抗生剤（細菌感染に効果）

• バルトリン腺炎
• 毛嚢炎
• 細菌性腟炎

など、細菌が原因の腫れに用いられます。

症状や感染の種類に応じて適切な薬が処方されます。

● 抗真菌薬（カンジダに効果）

カンジダ腟炎の場合、

• 内服薬
• 腟錠
• 外用薬

で治療し、数日〜1週間で改善します。

● 抗ウイルス薬（性器ヘルペスに使用）

性器ヘルペスは自然治癒しにくく、抗ウイルス薬を早期に使用することで痛みや症状の進行を抑えます。

● 外用薬（皮膚炎・外陰炎の治療）

• ステロイド外用薬
• 抗炎症作用のある軟膏

刺激で炎症が起きている場合に効果的です。

● バルトリン腺膿瘍の排膿処置

腫れが大きく、膿が溜まっている場合は、切開して排膿する治療が必要になることがあります。

処置をしないと、

• 痛みが続く
• 膿が増えて悪化する
• 再発を繰り返す

などのリスクがあります。

● 再発予防のためのアドバイス

婦人科では治療だけでなく、再発しないための生活の工夫もお伝えします。

• 下着やナプキンの選び方
• デリケートゾーンの洗い方
• 性行為後のケア
• ホルモンバランスや免疫低下への対処

原因ごとに必要な対策が異なります。

デリケートゾーンに起こる腫れ以外のトラブル

デリケートゾーンは皮膚が薄く、湿気や摩擦の影響を受けやすいため、腫れ以外にもさまざまなトラブルが起こり得ます。

• かゆみ・赤み（外陰炎・アレルギーなど）
• おりものの異常（細菌性腟炎・カンジダなど）
• 痛み・ヒリヒリ感（性器ヘルペス、摩擦）
• しこりやできもの（粉瘤、毛嚢炎、バルトリン腺嚢胞）
• においの変化（感染症・腟内環境の変化）

腫れと合わせてこれらの症状がある場合は、病気の可能性がより高くなるため受診して原因を確認することが大切です。

まとめ：デリケートゾーンの腫れは一人で悩まず、早めにご相談ください

デリケートゾーンの腫れや違和感は、日常の刺激による軽い炎症から、カンジダ腟炎・性器ヘルペス・バルトリン腺炎といった感染症まで、さまざまな原因で起こります。

「少し腫れているだけ…」と思っていても、痛みが強くなったり、不安が大きくなる場合もあり、自分で原因を見極めるのはとても難しい症状です。

特に、

• 痛みが強い
• 片側だけ急に腫れている
• 水ぶくれ・ただれがある
• おりものの異常を伴う
• 数日経っても改善しない

こうした症状がある場合は、感染症や炎症が進んでいるサインの可能性があります。

婦人科では、視診・エコー・分泌物検査などを組み合わせて短時間で原因を特定し、症状に合わせた最適な治療が可能です。

デリケートなお悩みこそ、ひとりで抱え込む必要はありません。

どんな小さな心配でも構いませんので、気になる症状がある方は早めにご相談ください。

あなたの体と心が少しでも楽になるよう、丁寧にサポートいたします。

デリケートゾーンの腫れに関するよくある質問