過多月経とは?生理の量が多い原因・受診の目安・治療法を婦人科が解説
生理のたびに出血量が多い、夜用ナプキンでもすぐいっぱいになる、レバーのような血の塊が出る ―このような症状がある場合、過多月経の可能性があります。
過多月経は、子宮筋腫や子宮腺筋症などの病気が背景にあることもあり、鉄欠乏性貧血につながることもあります。
当院では、過多月経の症状や原因、受診の目安、検査・治療方法について分かりやすくご説明しています。
生理の量が多いことにお悩みの方は、我慢せず早めにご相談ください。
目次
過多月経とは
過多月経とは、月経時の出血量が通常よりも多い状態を指します。
一般的には、1回の月経での出血量が約140ml以上とされる場合に過多月経と診断されることがあります。
ただし、実際の出血量を正確に測ることは難しいため、日常生活での症状やナプキンの交換頻度などから判断されることもあります。
過多月経は単に出血量が多いだけでなく、貧血や日常生活への影響につながることもあります。
また、子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症などの婦人科疾患が原因となっている場合もあるため、気になる症状がある場合には婦人科で相談することが大切です。
過多月経時の出血量や症状
過多月経では、通常の月経よりも出血量が多くなるため、さまざまな症状が現れることがあります。
具体的には以下のような状態がみられることがあります。
- ナプキンを頻繁に交換しないと漏れてしまう
- 夜用ナプキンでも出血量が多い
- レバーのような血の塊が出る
- 月経期間が長く続く
- 強い疲労感や立ちくらみがある
出血量が多い状態が続くと、鉄欠乏性貧血を引き起こすことがあります。
貧血になると、めまいや動悸、息切れ、倦怠感などの症状が現れることもあります。
月経の量が多く生活に支障が出ている場合や、以前よりも明らかに出血量が増えた場合には、婦人科での診察を検討することが大切です。
過多月経の原因
過多月経の原因は一つとは限らず、婦人科疾患によるものやホルモンバランスの変化など、さまざまな要因が関係している場合があります。
出血量が多い状態が続く場合には、背景に病気が隠れていることもあるため、原因を確認することが重要です。
ここでは、過多月経の主な原因についてご説明します。
子宮筋腫
子宮筋腫は、子宮にできる良性の腫瘍(できもの)です。
30〜40代の女性に比較的多くみられる疾患で、過多月経の原因としてよく知られています。
子宮筋腫の中でも、特に子宮内膜に近い場所にできる筋腫(粘膜下筋腫)は月経量が増えやすく、出血量が多くなる原因になることがあります。
また、筋腫の大きさや数によっては月経期間が長くなることもあります。
子宮内膜症
子宮内膜症は、本来子宮の内側にあるはずの子宮内膜に似た組織が、卵巣や腹腔内など子宮以外の場所にできる病気です。
この病気では、強い月経痛が現れることが多く、場合によっては月経量が増えることがあります。
また、慢性的な下腹部痛や性交時痛などの症状がみられることもあります。
子宮内膜症は進行すると生活に影響を及ぼすこともあるため、症状が気になる場合には婦人科で相談することが大切です。
子宮腺筋症
子宮腺筋症は、子宮の筋肉の中に子宮内膜の組織が入り込むことで起こる疾患です。
子宮が大きくなることがあり、月経量の増加や強い月経痛がみられることがあります。
特に30〜40代の女性に多くみられ、過多月経の原因として知られています。
月経時の出血量が多く、痛みが強い場合には子宮腺筋症が関係している可能性もあります。
ホルモンバランスの乱れ
女性の月経は、エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンのバランスによって調整されています。
ホルモンバランスが乱れると子宮内膜が過剰に厚くなり、月経時の出血量が増えることがあります。
ホルモンバランスの乱れは以下のような要因によって起こることがあります。
- ストレス
- 生活習慣の変化
- 体重の急激な変化
- 思春期や更年期などのホルモン変動
このような場合には、薬物療法などによって症状の改善が期待できることがあります。
子宮内膜ポリープなどの子宮内病変
子宮内膜ポリープとは、子宮内膜の一部が増殖してできる良性の病変です。
ポリープがあると子宮内膜の状態が変化し、月経量が増えることがあります。
また、不正出血や月経期間の延長などの症状がみられることもあります。
ポリープは超音波検査などによって確認されることが多く、必要に応じて治療を行う場合があります。
原因を確認することが大切
過多月経は体質による場合もありますが、子宮筋腫などの婦人科疾患が原因となっていることもあります。
原因によって治療方法が異なるため、出血量が多い状態が続く場合には婦人科で検査を受け、原因を確認することが大切です。
過多月経かどうかの検査方法・診断について
過多月経が疑われる場合には、婦人科での診察や検査によって原因を確認します。
診察ではまず、月経の状況や症状について詳しく問診を行います。
主な検査としては以下があります。
超音波検査(エコー検査)
子宮や卵巣の状態を確認し、子宮筋腫や子宮内膜症などの異常がないかを調べます。
血液検査
貧血の有無やホルモンバランスの状態を確認します。
内診
子宮や腟の状態を確認するために行う診察です。
これらの検査を組み合わせることで、過多月経の原因を調べ、適切な治療方針を検討します。
過多月経の主な治療方法
過多月経の治療は、症状の程度や原因となっている疾患の有無、患者様の年齢やライフスタイルなどを考慮して行われます。
出血量を抑えることを目的とした薬物療法から、子宮内に装着する器具による治療など、さまざまな方法があります。
ここでは、過多月経の主な治療方法についてご説明します。
薬物療法(止血薬など)
過多月経の治療では、まず薬物療法が検討されることがあります。
薬物療法では、出血量を抑える薬やホルモンバランスを整える薬を使用します。
主に使用される薬には以下があります。
- 止血薬(トラネキサム酸など) 月経時の出血量を抑える効果が期待されます。
- 鎮痛薬 月経痛が強い場合に痛みを和らげる目的で使用されることがあります。
これらの薬は月経期間中に服用することが多く、症状の程度に応じて処方されます。
低用量ピル
低用量ピル(経口避妊薬)は、女性ホルモンを含む薬で、ホルモンバランスを整えることで月経量の減少が期待できる治療方法です。
低用量ピルには以下のような効果が期待されています。
- 月経量の減少
- 月経周期の安定
- 月経痛の軽減
また、月経に伴う体調不良の軽減や生活の質(QOL)の改善につながることもあります。
妊娠を希望していない場合には、過多月経の治療として選択されることがあります。
過多月経の症状が月経困難症によるものであれば、低用量ピルも保険適用になります。ジェネリックであれば1シート600円程度から始められますので、お気軽にご相談ください。
ミレーナ(子宮内黄体ホルモン放出システム)
ミレーナ(IUS)は、子宮内に装着する小さな器具で、黄体ホルモンを子宮内に持続的に放出することで子宮内膜を薄くし、月経量を減らす効果が期待される治療方法です。
ピルに比べ血栓症リスクがほぼなく、ピル同様に高い避妊効果もあります。
ミレーナには以下のような特徴があります。
- 月経量の減少
- 月経痛の軽減
- 長期間(最長5年程度)効果が持続
過多月経や月経困難症の治療として使用される場合には、保険適用となることがあります。保険適用の場合、3割負担であれば12,000円前後になります。
局所麻酔での処置も無料でご相談可能です。
治療方法の一つとして、医師と相談しながら検討することができます。
ジエノゲスト錠
子宮内膜症や子宮腺筋症、月経困難症に伴う過多月経の治療に有効な黄体ホルモン製剤です。
- ジエノゲスト錠0.5㎎ 1,250円~1,750円程度
- ジエノゲスト錠1㎎ 1,450円~2,000円程度
※上記は1ヶ月分、院内処方、保険適用自己負担3割(診察料等含む)の場合です。(2026年4月時点の薬価を基にしています。)
偽閉経療法
過多月経の原因が子宮筋腫である場合には、偽閉経療法として、GnRHアゴニスト・GnRHアンタゴニストの薬物療法をご提案することも可能です。
GnRHアゴニストは注射や点鼻で投与、GnRHアンタゴニストは経口投与が一般的です。
- [GnRHアゴニスト] リュープロレリン酢酸塩注射用キット1.88mg 4,800円~5,300円程度
- [GnRHアンタゴニスト] レルミナ錠40㎎ 当院は院外処方で600円~1,100円程度です。(薬剤代は調剤薬局にてお支払い。)(院内処方のクリニックの場合、8,100円~8,600円程度。)
※上記は1ヶ月分、保険適用自己負担3割(診察料等含む)の場合です。(2026年4月時点の薬価を基にしています。)
原因疾患の治療
過多月経の原因が子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症などの婦人科疾患である場合には、その原因疾患に対する治療が行われることがあります。
例えば、
- 子宮筋腫の治療
- 子宮内膜症の治療
- 子宮内膜ポリープの治療
などが挙げられます。原因となる疾患によって治療方法は異なるため、検査によって原因を確認したうえで治療方針を決定します。
過多月経かもと思ったときのセルフケア
月経量が多いと感じた場合には、日常生活で体調管理を行うことも大切です。
十分な休息を取り、鉄分を含む食事を意識することで、貧血予防につながる場合があります。
ただし、セルフケアだけで症状が改善しない場合や出血量が多い状態が続く場合には、婦人科で相談することが重要です。
過多月経かどうかの受診目安
次のような症状がある場合には、婦人科での相談を検討するとよいでしょう。
- ナプキンを1時間程度で交換する必要がある
- 大きな血の塊が頻繁に出る
- 月経による出血量が以前より増えている
- めまいや立ちくらみなどの貧血症状がある
- 月経痛や下腹部痛が強い
これらの症状がある場合には、過多月経や婦人科疾患が関係している可能性があります。
過多月経についてのよくある質問
過多月経は自然に治ることがありますか?
ホルモンバランスの変化によって改善する場合もありますが、原因となる病気がある場合には治療が必要になることもあります。
過多月経は貧血になりますか?
出血量が多い状態が続くと、鉄欠乏性貧血を引き起こす可能性があります。
過多月経はどの診療科を受診すればよいですか?
婦人科で相談することができます。
まとめ
過多月経は月経量が多くなる状態を指し、日常生活への影響や貧血の原因となることがあります。
また、子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科疾患が関係している場合もあります。
自治体や会社の検診などには超音波検査が含まれていないことがほとんどです。子宮頸がん検診では子宮や卵巣の異常を診ることはできませんので、定期的に子宮頸がん検診とあわせて超音波検査も受けることをオススメしています。
月経量が多くて気になる場合や、貧血症状がある場合には、婦人科で相談することで原因を確認することができます。
気になる症状がある場合には、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
